鉄塔ばかりを見ていたわけではなく、相変わらず本も読んでいました。
未来社から宮本常一著作集別集として刊行が始まった「私の日本地図」の第10巻、武蔵野・青梅編が今回の旅のお供でした。
宮本氏の本にハズレなしで、この本もとても楽しく読めました。私の住んでいる町に近い地域が扱われていますので、思いあたることもいくつかありました。
小さな本ですが紙質がいいので、宮本氏の撮ったたくさんの写真をはっきりと見ることができます。
宮本常一といえば、まず旅の人であり、そしておびただしい量の貴重な写真を残してくれた人ですものね。
この本に収められている60年代後半の武蔵野、青梅の写真を見て不思議だったのは、懐かしいという思いが湧いてこなかったことです。私が高校生のころの風景なのですが、とてもそのころには見えないのです。
もっとずっと昔、戦前や大正時代の、それも東京の郊外ではなく、地方の農村や山林の風景のようです。
私の住む日野には田畑がまだたくさん残っています。日野の街角の写真はたまに撮ることがありましたが、それらを私は一度も写したことがありませんでした。
休日の楽しみが増えたようです。
この本の中に1枚だけ異質な写真がありました。青梅市の玉堂美術館の枯山水のような庭の写真です。すてきなキャプションが付いていました。たぶん宮本氏自身が書いたものでしょう。
曰く「金のかかった庭」。
私の日本地図(10) 武蔵野・青梅 (宮本常一著作集別集) [ 宮本常一 ]
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