旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

”All the Things You Are”(承前)

どんなに強烈な印象を残した夢でも、メモをとっておかない限り、翌日には雲散霧消してしまうものです。夢も、夢を見たという経験であるはずななのですが、五感を通したものではないので記憶に残ることがないのでしょうか。
さて、一日おいての夢の再現です。できるかなー。


実はKさんと私たちはジャズのトリオを組んでいたのです。大家さんがピアノ、Kさんはドラムで私がベースです。
警察に連絡した大家さんは、Kさんのために追悼演奏をしようと言いました。私に異存はありません。
アパートの一室はいつの間にか斎場のようになっていました。おまけに楽器までがセットされているではありませんか。
「彼が好きだった"All the Things You Are"を演ろうよ。ベースではなく、ドラムを叩いてくれないかな。」
(ここで"All the Things You Are"の演奏シーンが入ります。)
なんのひねりもないお題でしょ。でもなんで"All the Things You Are"なのかな。


私は会社に行くことにしました。上司にKさんが縊死したことを報告しなければならないからです。
上司(彼の顔は、なんと実在のKさんでした!)は驚きもせずに、早退して葬儀を手伝うように命じました。部下が不審死したというのに、冷静沈着すぎます。


アパートに戻ると、検死がすんだところでした。事件性はないので葬儀をしていいというのです。なんだかすべてが、計画されていたようにあっさりと進んでいきます。どうも妙です。
刑事は、Kさんには多額の借金があり、それを知った奥さんから離婚を迫られ、それらを苦にして自殺したのだろうと言うのですが、なにか引っかかります。


そうだっ!奥さんからの手紙は開封されていたかったのです。あれは私が開封したのです。
では、借金が原因で自殺したのでしょうか。
私が首をひねっていると、大家さんはまた演奏をしないかと誘ってきました。なんだか大家さんが、私の気をそらそうとしているようにも思えます。


そんな私も無意識にスティックを手にしました。あれっ、このスティック、先がステンレスになっています。プラスチックのついたものは見たことがありますが、ステンレスで、おまけに先が円錐形(アポロチョコみたいでした)になっているスティックなんてあるわけがありません。これではドラムの皮を破ってしまいます。
このスティックは、もしかしたらKさんからのダイイングメッセージかもしれません。あるいは、Kさんの死の謎を解く鍵がここに隠されているのでは‥‥。


若い女性が息急き切って飛びこんできました。私の知らない人です。
「私、Kさんの婚約者です。奥さんと離婚が成立したら結婚することになっていました。あの人が自殺するなんて、絶対にありえません。」


おあつらえ向きの展開となりました。
が、ここで夢から覚めてしまったのです。昨夜続きを期待したのですが、見ることはできませんでした。
怒らないでね。だから昨日、竜頭蛇尾になるって書いておいたじゃない。
でも、やっぱり‥‥ごめんなさい。


蛇尾に蛇足もつけちゃいます。
思いだせないことがひとつだけありました。大家さんが二度目の演奏を提案したとき、曲目も言ったのですが、それを忘れてしまいました。