今回の江刺出張の目的のひとつに、私用なのですが、今年二月に亡くなった「先生」の墓参がありました。
この便りに何度か書いたことがありますが、「先生」とは江刺の居酒屋で知り合い、親しくなりました。英語の教師をしていましたので、実際に先生だったのですが、私はちょっと違う意味も含めて、「先生」と呼んでいました。「先生」は私より十六歳年長でした。
「先生」とは、一度【江刺寄席】に来てくださいましたが、それ以外は居酒屋で会うだけの、それも偶然にまかせたお付合いに終始しました。それは「先生」の発病まで続いたのですが、確実に死に至る難病に罹ったことを「先生」は周囲に知らせず、「先生」が居酒屋に来なくなった理由を私が知ったのは、死後のことでした。
そんな間柄でしたから、「先生」の訃報は私には届かず、葬儀に行くことはできませんでした。せめてお墓参りだけでもと、知り合った居酒屋のSさんにお願いし、それが昨日実現したのです。
「先生」の眠るお寺は、東北新幹線水沢江刺駅の近くにありました。写真の本堂の左手が墓所です。
驚いたのはたくさんあるお墓の半分くらいが、「先生」と同じO姓だったことです。東京では考えられません。さいわい直近に埋葬された人の名を記した案内板がありましたの、なんとか「先生」のお墓を見つけることができました。
前夜、Sさんの店で延々と「先生」の思い出話に花を咲かせたせいか、お墓に向かっても感傷的になることはありませんでした。