旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

みだりがわしい

古語や漢語、テクニカルターム以外はほぼ知っているつもりでしたが、標題の形容詞は未見でした。広辞苑では「源氏物語」からの三種の用例のみを載せていますから、このことばは古語の範疇に入るのかもしれません。
朝日新聞朝刊に連載中の筒井康隆の小説「聖痕」は、あえて古語を使用すると作者が述べていましたので(枕詞がたっぷりと使われています)、そこでの遭遇なら驚くことはなかったでしょう。
大江健三郎の小説「新しい人よ眼ざめよ」(講談社文庫/87頁)で「みだりがわしい」は使われていました。独特のいいまわしや、英文の引用が多い大江の文章ですが、死語の使用は見られませんでした。
この場に適切は表現はほかにもあったはずです。なぜこのことばを彼は選んだのか考えてみました。結論らしいものは出ましたが、今は書きません。
ただ、「おまえはみだりがわしい奴だ」といわれたら、私はこう応えるでしょう。
「そのようなことばで人を非難する品性の卑しさに、君は気づいていないのだろうな。」