溝口睦子の「アマテラスの誕生」を読み、日本神話の繋がりが(=不繋がりが)やっと理解できました。
私が一番わからなかったのは<国譲り>でした。地上を支配していた神はオオクニヌシですが、彼はスサノヲの子孫です。そしてスサノヲの姉はアマテラスで、降臨した天孫ニニギの父親はオシホミミです。オシホミミはアマテラスとスサノヲの<ウケヒ>から生まれた神で、(一応)アマテラスの子ということになっています。
早い話、高天の原と豊葦原の中つ国の支配者は姉弟であったわけです。で、なんでわざわざ<国譲り>なの?と私は小さいころから疑問に思っていました。
その後、出雲王朝に関する本などを読むようになり、(バカだとは知られたくないので)なんとか理解できたふりをしていました。ホントのところはその<出雲王朝>もよくわからなかったのですが‥‥。
この本で理解できるはずのないことがわかりました。「古事記」は、もともと系統が違うふたつの神話を結びつけたものだったらしいのです。そしてその繋ぎ目が<国譲り>だったのです。
スサノヲが大活躍する前半は弥生時代から伝わる部族連合時代の神話で、天孫降臨から北方ユーラシア系神話に源をもつ統一王朝のそれなのです。
でも、「アマテラスの誕生」のテーマはそれではありません。本来、皇祖神はタカミムスヒであり、ある時期にそれが地方神であるアマテラスが取って代わったのはなぜか、がそれです。
新書という体裁から十分に論が展開されていない嫌いはありますが、とても説得力のある刺激的な本でした。すぐにでも再読するつもりです。
- 作者: 溝口睦子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/01/20
- メディア: 新書
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