旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

花ばかり さくら横ちょう

今日は雛の日。今週は全国的に天気が悪いようですが、これも春の兆しのあらわれです。
この時期になると、決まってラジオからは「なごり雪」や「春一番」が聞こえてきます。あっ、「春なのに」も忘れてはいけません。
春夏秋冬、いい歌はたくさんあるのでしょうが、やはり春は格別なのですね。


私の一番好きな春の歌は、江間章子作詞・團伊玖磨作曲の「花の街」です。確か中学生になって、最初の音楽の授業で習った曲です。
坊主頭に詰め襟の学生服、背伸びをした気分になっていたのでしょう。そんなチューボーの私に、この歌は忘れていた幼年期を思いださせてくれました。そして、そんな思いを味わうなんて、ちょっぴり大人になったわいと、自分を観察してもいたのです。


昨年購入した鮫島有美子のCDに、すてきな春の歌をみつけました。「さくら横ちょう」、初めて聞く歌でした。
作曲は別宮貞夫で、とても私には歌えない複雑な旋律を持っています。歌曲と呼ぶべきものなのでしょう。
ピアノ伴奏の譜も、おそらく別宮の手になるもので、テンションノートを多く含んでいます。明るさだけではない春の一面を描き出し、けだるいもの悲しさが伝わってきます。
終わってしまった恋の歌です。第三聯を引きます。

会ひ見るの時はなかろう 「その後どう」「しばらくねえ」と
言ったってはじまらないと 心得て花でも見よう
春の宵 さくらが咲くと 花ばかり さくら横ちょう

作詞は加藤周一です。