旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

続・インクスの倒産(3/3)

昨日書いたように、インクスに債権のある同業者についてはわかりましたが、債権者名簿を手に入れたのではないので、なぜあのようにインクスがあっさりと倒産したのかは私には想像がつきません。
驚いたことは、インクスが株式を店頭公開していなかったことと、資本金のあまりの少なさでした。
もちろん、資本金と企業の規模は無関係です。商社やサービス業、IT産業では特にそうでしょう。しかし、製造業は違います。設備投資の金額と売上高は比例するからです。例外があるとすれば、長い年月をかけて少しずつ成長してきた会社だけでしょう。


2007年12月期の年商が105億円のインクスの資本金はわずか8,715万円でした。
インクスが山田社長が述べるような企業であれば、増資と株式の公開で膨大な資金を簡単に手にすることができたはずです。なぜそれをしなかったのでしょうか。
考えられることはふたつあります。ひとつは、インクスの実態がマスコミで紹介されたようなものではなかったか、財務管理があまりにも杜撰で、公開したくても審査を通過することができなかったというケースです。
もうひとつは、代表者一名が株式のほとんどを所有していて、ワンマン経営を維持したかった場合です。あの金額であればそれは可能でしょう。


有利子負債は少なければ少ないほどいいに決まっています。
私たちのちっぽけなATCでさえ、設備投資のために第一期の途中で増資をしました。株式の公開ははなから無理と諦めていますので、その後数年間はリースと金融機関からの借入金で設備を増やしてきましたが、数年前からは自己資金でそれが購入できるようになり、運転資金の借入はしないという方針もあって、有利子負債の残高は現在ではわずかとなりました。
店頭公開が可能なら、もちろんやったでしょう。潤沢な資金が会社に入ってきますし、自分の持っている株式を(ほどほどに)処分すれば、創業者利益という夢のようなものも手に入れることができるのですから。


インクスの負債額は170億円ときいています。ATCと同じような規模の同業者たちが、なるべく多くの債権を回収できることを祈ってやみません。