旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

大カトー大いに語る

キケローの「老年について」(岩波文庫)を読みました。自分を老人と自覚するようになったら読もうと、七年前に買った本です。今日までお蔵入りだったのですが……。
この本、著者のキケロー自身が語るのではなく、大カトーがふたりの若者と対話するという形式になっています。自分を大カトーに仮託しているわけです。
これで中身は見当がつきました。おそらく、私の期待していることは書かれていないでしょう。
案の定、老いても意気軒昂だった古代ローマの英雄たちについて大カトー(=キケロー)は延々と語ります。「老年が惨めなのは、若いときから病弱であった連中や、得のない痴れ者たちだけなんだよ」要約すればこれだけの話です。書名を「大カトー大いに語る」にすればよかったのにね。
と書くと身も蓋もありませんので、ひとつだけ、全面的に肯定しているわけではありませんが、私が頷いたところを引用しておきます。

次は老年に対する三番目の非難、老年には快楽がないとする俗説だ。青年時代の悪徳の最たるものであった、まさにそのものをわれわれから取り去ってくれるとは、歳をとることの何と素晴らしい賜物ではではないか。(41頁〜42頁)