旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

損な噺

落語家の世界には「損な噺」ということばがあります。圓生さんや馬生(先代)さんが使っていたのを覚えています。
内容が複雑であったり、地味すぎたりして客にうけない噺を指すようですが、圓生さんは納得できない噺というようなニュアンスも加えていたようです。誰もが知っている古典であっても改作があたりまえになってきたこの頃では、このことばは死語になってしまったかもしれません。
時代背景が変わってしまい、面白みがなくなってきたと感じる噺を私は賞味期限切れと呼んでいます。これと損な噺は重なるように思えますが、違う気もいたします。演じる側が使うことばと聞く側のそれとの差は、思いのほか大きいのでしょう。
損な噺も賞味期限切れの噺も残って欲しいものです。寄席でそればっかりが続くと困りますが。