旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

フーコー、フローベール、ブリューゲル

「三回、フローベールは『聖アントワーヌ』を書いた、くり返して三回書いたのである」
ミシェル・フーコーの「幻想の図書館」(工藤庸子訳)の冒頭です。ギュスターヴ・フローベールの小説は『ボヴァリー夫人』と『感情教育』しか私は読んだことがありません。「幻想の図書館」は『聖アントワーヌの誘惑』論で、それを読んでいないことにはお手上げなのですが、読んでいるうちに聖アントワーヌその人が気になってきました。結局は『聖アントワーヌの誘惑』を読まなければとなったのですが、これ以上本は増やさないと決めましたので、あっさりと諦めました。
訳者の註に、フローベールは「ジェノヴァブリューゲルの『聖アントワーヌ』を見て、これを戯曲にすることを思いつく」とあり、それが見たくなりました。手持ちの画集のマニエリスムの巻にピーテル・ブリューゲルの作品がいくつか載っていましたので、期待して広げましたがありませんでした。『聖アントワーヌ』は版画で、画集が取り上げたのは絵画だけだったのです。