旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

明瞭なセリフ

フジテレビのドラマ「ありふれた奇跡」を見ています。
実は山田太一のドラマを見るのはこれが初めてです。やっぱり自分は偏屈なのかな、と思ってしまいます。


まだ始まったばかりなので、ストーリーについてはなんとも言えませんが、演出に感心しています。
まず、出演者全員がゆっくりと明瞭なセリフをしゃべること。最近の映画やドラマが、あえて早口や不明瞭にしゃべらせ、その上周囲のノイズまでも取り入れ、リアルさを求めているのとは対照的です。
小津を慕う映画監督たちが小津映画をまねて、棒読みのようなゆっくりとしたセリフをしゃべらせる映画は何本か見たことがありますが、あれとは違っています。セリフに表情があるのです。


もうひとつは、小さな部分にありえないことが配されていることです。今週の放映では喫茶店のシーンがそうでした。
先に喫茶店に来ていた加瀬亮仲間由紀恵のためにコーヒーを頼みます。そのときから彼女は話し続け、そのままカメラの角度が変わるとテーブルの上にはすでにコーヒーが置かれているのです。
ビデオで何度も見ることはしないので断言はできませんが、これに類するシーンはほかにもありましたから、そこには演出家の意図があるはずです。


今日はNHKで「浪花の華」があります。これも楽しみです。
テレビ爺さんになっちゃったのかな。