昨日、NHKの寄席中継で桂文珍さんの落語を見ました。うまいものですねー。
落語好きの知人から「文珍はおもしろいよ。以前の彼は忘れて、見ておくべきだね」と言われていましたので、気にはなっていたのですが、高座に接したことはありません。
どうも商売上手な藝人が、私は苦手なのです。*1
でも、現在の文珍さんを見ていると、きちんと計画を立てていたんだろうなと感心してしまいます。稼げるときにはがっちりと稼ぐけれど、しっかりとその先を見据え、落語の稽古も怠らなかったのでしょう。
桂歌丸さんも六十を過ぎたあたりから重量級の古典に取り組むようになりました。それまでは、はっきり言って出来のよくない新作でお茶を濁していましたから、その変化に驚きました。
一見、文珍さんの先輩のように見えますが、私には歌丸さんの古典派への転回が計画されていたものとは思えません。
きっと、思うところがあったのです。俺はなんのために落語家になったんだろう、と。
賢い文珍さんが(やっかみもあって)小憎らしく思えますが、歌丸さんの円朝噺とともに、落語界にとってはとてもいいことです。人生、やはり五十代までは種をまく時期なのでしょう。
とすると、私はまだ種まき権兵衛です。カラスを追いかけまわしながら、せっせと毎日野良に出かけることにいたしましょう。*2
4月に文珍さんは、なんと国立大劇場で10日連続の独演会を開くそうです。たぶん、私は行きません。
小屋が大きすぎますし、(だからでしょうが)5千円という木戸銭は演藝向きではないからです。*3