志村ふくみの随筆を愛読してきたせいか、糸や布を染める仕事に憧れを抱いています。
そんな仕事が出てくる、総天然色とでも呼びたいような、きれいな色の夢を見ました。
長女と一緒に、彼女がセーターを買ったお店を訪ねました。小さなお店なのですが、美しい色のセーターがたくさん並んでいます。
ふっくらとした老齢の女主人に、買ったカシミヤのセーターを染めてもらえないかとお願いしました。
「確かにこの色はお嬢さんには地味ね。どんな色にしたいの?」
「こんな色」と娘は飾ってあるセーターを指さしました。ラピスラズリのような鮮やかな色のセーターです。
「ちょっと難しいかもしれないけれど、預からしてもらうわ。」
セーターを預け、娘と家に帰ってきました。
「あの人、魔女みたいだから、きっと素敵な色に染めてくれるよ。」
私は娘に言いました。
「魔女の宅急便」で、魔女の子は13歳になると、1年間よその町で暮らし生計を立てなければならないことを知りました。私は店の女主人が、そんな魔女の子の成長した姿に思えたのです。
「魔女宅」のキキは箒で飛ぶことしかできなかったので宅急便を始めました。キキのお母さんは薬の調合が得意でしたし、旅立った日にキキが出会った魔女の子は、占いをしていると言っていました。
たぶん、あの人は染色の才能があり、この町に居ついた魔女なのです。
夢の中で夢を見ました。
女主人が手に幾種類かの鉱石と木の皮を持って、「これで大丈夫」とほほえんでいました。