フジテレビ提供の Podcast 「お台場寄席」を毎週聞いています。
この番組の一番の魅力は二つ目の落語が聞けることです。寄席に行っても二つ目は前座のあとにひとり出るだけですから、あまり聞く機会がありません。
【江刺寄席】では真打はひとりしか出せませんので(今年はふたりです!)、席亭である私にとっては勢いのある二つ目をチェックするのに、おあつらえむきの番組なのです。
今週は桂小金治の落語でした。当代が誕生したのではなく、あの(テレビタレントの)小金治です。落語のCDを出したそうで、今回の「お台場寄席」はオリジナル録音ではなくその音源を放送しました。
小金治の落語は、現役時代にラジオかテレビで聞いたことがあるような気はしますが、覚えていません。期待はされていたようですが、わけあって辞めた人は過大評価されがちなので、「もったいないことをした」という声には聞く耳を持たないことにしていました。
演目は「蛇眼草」。「蛇含草」ではありません。噺の中に「蛇の眼(まなこ)と書く」とありますので書き違いではありません。まあ、「岸柳島」と「巌流島」のようなものでしょう。
ライブ録音で、マクラは予想通り講演口調でした。落語家になったいきさつを語り、先代の小さん(当時は小三治)に惚れ込み、噺をたくさん習ったことを多少自慢気に述べ、「蛇眼草」に入りました。この噺は三木助から習ったそうです。
「そば清(蕎麦の羽織)」ではなく、八っつぁんが大家さんに餅をご馳走になる噺です。
元落語家の落語ですから、出来を問うのはやぼなものですが、まずいところが一カ所ありました。
五十切れの餅を食べると豪語した八っつぁんですが、あと五つというところでどうにも食べられなくなりました。そこで先ほどもらった蛇眼草を口にしようとするのですが、この時点では観客には(八っつぁんがそう思っているように)「蛇眼草」を消化薬と思わせなければなりません。ところが、小金治は八っつぁんは勘違いしたとしゃべってしまったのです。
「蛇含草」がよく知られた落語とはいえ、そりゃないでしょ、小金治師匠。