旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】三遊亭兼好

三遊亭兼好師匠

第五回【江刺寄席】の主任(トリ)は三遊亭兼好師匠です。


私がはじめて兼好師匠を聞いたのは四年前、当時は二つ目で好二郎を名乗っていました。円楽一門にこんなにうまい二つ目がいたんだ、と驚いたことを覚えています。
二年後に真打に昇進、名も兼好と改めました。それを知ったとき、明るい藝風なので名前が地味すぎるのではないかと心配しましたが、今ではこれしかありえないというほどにしっくりし、所詮素人の考えなどはそんなものかと反省しました。


演目は「猫の災難」。兼好師匠お得意の噺です。
酒飲みのいじらしさが、いやらしさといってもいいのですが、丁寧に描かれます。兄貴分が買ってきた酒のうまそうなこと、酒好きの私にはよだれが出るほどです。酒をこぼせば畳を手で押してチューチューと吸う始末。やったことはありませんが、その気持ちはわかります。
それに対して兄貴分の人のいいこと。金離れもいいとなると兄貴分の鑑です。
このふたりは対照的ですが、なぜか弟分を憎むことができません。隣から鯛の頭と尾をもらうほどですから、貧しさに同情してしまうのでしょうか。
いい噺でした。


【江刺寄席】のチラシに私は兼好師匠を「日常生活も和服で通す、現在ただひとりの落語家」と書きましたが、これは誤りでした。打ち上げで「家の中ではジャージですよ」と笑って話してくださいました。そんなわけで、「日常生活も」を「外出時には」に訂正させていただきます。


さて、以上をもちまして第五回【江刺寄席】はお開きとさせていただきます。ご来場、まことにありがとうございました。