旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】席亭からのご挨拶

(第五回【江刺寄席】のフライヤーに載せる「席亭からのご挨拶」を書きました。実際にはスペースの関係で半分くらいになりますので、ここに全文を掲載いたします。)


興行というものにまったく縁のない私たちが手探りで始めた「江刺寄席」でしたが、お客さまの暖かいご声援と、三遊亭好楽師匠とその息子さんの王楽師匠のご尽力により、節目ともいえる五回目を迎えることができました。本当にありがとうございます。
それを記念し、今回は五代目円楽一門会を開催することにいたしました。
立川流に比べると若手が育っていないといわれがちな円楽一門会ですが、どうしてどうしてそんなことはありません。出演する四人の落語を聞けば、それが根も葉もないことだと立ち所に納得されるでしょう。


トップはおなじみの好の助さんです。勉強熱心な好の助さんはレパートリーをどんどん広げていますが、二つ目になって二年目、心に期するところがあるようです。学生時代はホッケーの選手だった好の助さん、持ち前のパワーで柄の大きな落語家に育ちつつあります。
続いては円橘師匠のお弟子さんのきつつきさんです。きつつきさんはフラのある人で、それを活かせば人気者になれるのでは、というのが前座時代の彼に対する印象でした(フラとは落語界の用語で、持って生まれたおかしみを意味します)。しかし、きつつきさんが二つ目になった頃、彼がそのような志の低い人ではないことに私は遅ればせながら気づきました。きつつきさんの落語は現代感覚にあふれ、素で話しているように聞こえますが、実は稽古に稽古を重ね、緻密に組み立てられたものなのではないでしょうか。
仲入り前は王楽師匠です。王楽師匠の魅力は端正でリズム感のある語り口です。その爽快感はお客さまの方がご承知のはず。最近は昭和の名人たちが得意にしていた演目に取り組んでいますが、それだけでなく自作の新作落語にもチャレンジしています。春風亭小朝師匠から二代目落語小僧の名をいただいたそうですが(初代はもちろん小朝師匠です)、その名にふさわしい活躍が期待できます。


休憩の後にはお待ちかね、ナポレオンズの登場です。テレビでおなじみのユーモアマジックだけでなく、世界をうならせた本格マジックもお楽しみください。背が高くメガネをかけているのが好の助さんのお父さん、ボナ植木さんです。親子の共演はあるのでしょうか。
さて、今回のトリは兼好師匠です。演芸評に「今聞くべきは兼好」と書かれたことのある若き実力派です。明るく、やや早口の高座に、これは流派が違うので褒め言葉になるのかわかりませんが、私は若き日の志ん朝師匠を感じることがあります。日常生活も和服で通す、現在ただひとりの落語家でもあります。落語を聞く喜びを与えてくれること請合いです。


第五回「江刺寄席」、最後までごゆっくりとお楽しみください。