旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】立川志ら乃

立川志ら乃さん

【江刺寄席】を六回目からプロデュースしようと決めたとき、「立川流参上!」というキャッチコピーのようなものが頭に浮かびました。即、という感じで、主任(トリ)を誰にするかよりも早かったのです。


【江刺寄席】にはこれまで立川流の落語家は来ていません。聞きたいという要望は何度かいただきました。そしてそれらは、真打のあの方やこの方の来演を願うものでした。もちろんそれもいいのですが、ちょっとへそ曲がりの(だいぶかなー?)私には、それではおもしろくありません。そこで「立川流参上!」です。
このコピーにはベテランは似合いません。若武者見参といったイメージがあります。これで二ツ目に決まりました。さて誰にするか。これもすんなりと志ら乃さんに決定しました。
実は私、立川流二ツ目の中で、志ら乃さんはそう多く聞いていなかったのです。ただ印象には残っていました。明るくスピーディーに話す二ツ目たちの中で、彼は異質だったからです。
そこでさっきの「若武者見参」になるのですが、若武者らしくない若武者の方がシーズン2になった【江刺寄席】らしいよねって、私考えちゃったのです。(だからだいぶへそ曲がりなの。)


あの低い声でのボソボソ口調、はじめは驚いたお客さまが多かったようですが、すぐに志ら乃ワールドに引きこまれていきました。そうなると嬌笑が会場に広がっていきます。そしてはじまったのが「持参金」。
前に出た歌太郎さんの「権助提灯」は、本妻と妾の意地の張り合いというか、旦那の押し付け合いをするというか、「よい子は大きくなるまで待っててね」の噺でした。こちらは持参金目当てにワケありの嫁をもらうという、これもまたの噺です。あちらは権助が救いですが、こちらはといえば……。
志ら乃さん、ともすると嫌な後味の残る噺をあっさりと語り進め、談志家元の持論「業の肯定」を伝道してくれました。立川流のトップバッターは、いきなり二塁打を打ったようです。


さて、ここで仲入りです。