旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

古本の夢

古本に何か、その本の出荷時に折り込まれた新刊案内以外のものが、挟まれていることがあります。プライバシーに関わるものは古書店で除くでしょうから、手紙や葉書には私は遭遇したことがありません。でもメモは何度かありました。独特な書体から、その本を献呈された著述家が書いたとわかるものもありました。
先日、二冊の古本にいろいろなものが挟まれている夢を見ました。一冊は、私が中、高校生の頃によく読んだ河出書房の世界文学全集に似た装丁の本で、ロシアの実在しない作家の短編小説集でした。その本は私の愛読書で、古本で求めて何度も読み返した記憶がありました。
それには翻訳者のご子息から私に宛てた短い手紙が挟んでありました。評判にならなかったこの本は、父が最も力を注いで訳し、愛着していたものでしたと書かれ、私への感謝の言葉で結ばれていました。手紙以外には新聞の切り抜きが挟まれていました。
もう一冊はその翻訳者の、私家版と思われる随筆集でした。彼の何回忌かに参列者に配布されたもののようです。そこに挟まれていたのは故人の自筆の原稿と小さな水彩画でした。随筆集にその文章はなく、私に向けて書かれたのではないかと感じられましたが、一度も面識がありませんので考え過ぎでしょう。水彩の風景画は明るい色彩のとてもいい絵でした。