旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

敗戦で繋がる二つの夢

満洲の寒村にいる夢を見ました。若い私は兵役に就いていたはずなのですが、なぜか農民として暮らしていました。やがて敗戦、村の人々を連れて帰国しました。その間の描写はありません。
焼け残った浅草橋場の家に住んでいると、武装解除された知人たちが三々五々に集まって来ました。住むところがないのでしょうし、彼らのリュックサックに詰まった米や芋もありがたく、一緒に暮らすようになりました。そのうちに彼らが蜂起を企てていることを知りました。無駄死はするなと一人一人説得し、なんとかそれを諦めさせることができました。
次の夢では初老の私が小学校で臨時の用務員として働いていました。前年に終わった戦争の被害は学校のある郊外の町には見られません。校門の前を掃いていると忌野清志郎くんが、リードの付いていない小さな犬を連れてやってきました。彼とは昔からの友だちです(夢の話です)。犬は私に向かって一目散に走ってきました。抱き上げると、顔をペロペロ舐められてしまいました。「こいつの名前覚えてる」と訊かれましたが、彼が犬を飼っていたこと自体知りませんので、私は首を横に振りました。清志郎はやつれ、無精髭を生やしていました。
「また歌うことにしたんだ。マネージメントやってくれないか。金は出せないけどね。」
戦争中は歌わなかった彼が再起する気になってくれたんだ。二つ返事で引き受けました。
「すぐには歌えないから、それまでヴァイオリンを弾いている甥っ子がいるので、そのコンサートの手伝いをしてくれないか。」
彼、一人っ子だったよな。奥さんの甥かな。まあいいや。
話すのが苦手な清志郎は、いつもなら用事がすむとすぐに帰ってしまいます。でも今日は立ち去りがたいようで、何かぼそぼそつぶやきながら立っていました。それだけでも変なのに、急に私を強くハグしました。
彼と別れ校内に戻ってから、彼が死んでしまったことを思い出しました。