旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

考えないと

仕事をやめた頃から、亀の甲より年の功と、自分の思いを疑わず、それに従って生きるようにしてきました。ところが、病気が癒え生活慣習がわずかに変わるとともに、その思いの浅さを反省することが増えました。
年の功は知識と経験がもたらしてくれるものですが、年を重ねるだけではだめなのです。自然と湧いてくる思いをひとまず抑え、踏みとどまってよく考える。考えることが大切です。私にはそれが欠けていました。経験は意外と役に立ちません。でも知識はこれからも増やせますし、考えの幅を拡げてくれるはずです。
先日、近辺にあることが起こり、私はうろたえました。思い浮かぶのは悪いことばかりです。しかし本当にそうなのだろうか。苦の後には楽が来るという処世訓ではなくて、それ自体に楽しいことが、気持ちの上だけでなく実際に手で触れられるものとして、一杯含まれているのではないか。大変なことは悪いことと同じではないのだ。これは考えることの具体例にはなっていないかもしれませんが、今までの私でしたら間違いなくうろたえるだけだったでしょう。
漱石の『彼岸過迄』を読んでいます。一行一行がおもしろくてたまりません。よいお年をお迎えください。