音楽を聞いていて、電気が走るような経験をしたことが二度あります。
クレイジー・キャッツの「スーダラ節」とビートルズの「抱きしめたい」です。
「スーダラ節」を初めて聞いたのは、ＮＨＫで日曜日に放映されていたドラマ「若い季節」の中でした。ザ・ピーナッツの歌うテーマソングで始まるこの番組を、家族みんなが楽しみにしていたものです。
「スーダラ節」が最初に歌われた場所は、プランタン化粧品のオフィスだったのでしょうか。屋上で歌われたこともあったので、どちらが先か記憶が定かではありません。
びっくりしました。こんな歌があっていいの。
翌日、学校に行くと（小学４年生でした）男の子たちの話題は「スーダラ節」でもちきりでした。そのうちに、誰かが歌い出した「スイスイ スーダララッタ スラスラ スイスイスイ」に全員が唱和し、腰をかがめて右腕を振り始めました。それ以外の部分は、まだ一度しか聞いてないので、誰も歌詞を覚えていなかったのです。
たった一回のテレビ放送で小学生を夢中にしてしまった「スーダラ節」。恐るべき歌です。
今年になって、植木等さんが亡くなることがあったら淋しくなるな、と考えることが何度かありました。
その日は、思っていたよりもずっと早く訪れてしまいました。
植木さん、たくさんたくさん笑わせてくれて、本当にありがとうございました。
