旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ゴシップは蜜の味

今回の出張のお供は薄田泣菫の「茶話(ちゃばなし)」でした。
この本は何度も出版されていますが、私の持っているのは冨山房百科文庫版で、数年前に近所の古書店で300円で購入したものです。正確には「完本 茶話」で、編集者のひとりは、谷沢”人間通”永一です。全三巻ですが、下巻は持っていません。
実は買ったまま、一度も目を通していませんでした。書名は広く知れ渡っていましたので、それだけで購入し、書棚の奥に押しこみ、そのまま忘れていたのです。
で「そんな本があったよな」とふと思い出し、今回のお供となりました。


泣菫の詩は、何がうたわれているのか一向にわかりませんでしたが、字面だけは目にしていました。「茶話」は、その書名から、高名な詩人の手になる枯れた随筆集と勝手に想像していました。
ところがどっこい、これってゴシップ集だったんですねぇ。こりゃあ売れたわけだ。
ただ、大正時代のゴシップ集ですから、登場人物の半数以上が私の知らない人です。残念ながら、軽装版ということもあってか、注釈は付いていません。
でもテキトーにその人物を想像し、楽しく読み飛ばしました。いつの時代も、ひとのゴシップは蜜の味です。