旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ショパンと潤一郎

今回の出張のお供は、中公文庫の潤一郎ラビリンス2冊とルービンシュタインの弾くショパンでした。
潤一郎ラビリンスは全巻を揃えていません。最近は書店で見かけることも少なくなってきました。
中公文庫の面白そうな本は、古本屋でも手に入りずらいんですよね。昔の、薄いピンクの背表紙のものにはいい値段がついていますし‥‥(あのころの中公文庫はよかったなー)。


谷崎の文体は結構くどくて、描かれる偏執的な世界とぴったり重なったときには、恐ろしいまでのリアリティを感じさせてくれます。今回読んだ作品ではメタフィクション的な「呪われた戯曲」がそうでした。
谷崎のアンソロジーには、編者の文学観がくっきりとあらわれてしまいますので、書店で見かけると必ず手に取ってしまいます。文学全集が出なくなってしまいましたから、その楽しみも過去形になってしまいましたが‥‥。


ルービンシュタインを聞いていて、音楽の録音は60年代が一番よかったように思えてきました。70年代からはマイクをやたらに配置したマルチモノ録音が主流になってしまいましたし‥‥。
その後ワンポイント録音が出てきますが、大手のレコード会社は採用しなかったので、それで聞ける演奏家に今ひとつ魅力がありませんでした。