ドイツグラモフォンに続いて、EMIからもマルタ・アルヘリチのボックスセットが発売されました。こちらもピアノ作品、協奏曲、室内楽の3箱に分かれています(グラモフォンからは近々、フィリップスレーベルのものを集めたコレクション4が出ます)が、グラモフォンでは室内楽に収められた2台のピアノによる演奏は、連弾とともにピアノ作品の箱に入れられています。
アルヘリチはレパートリーに偏りのあるピアニストで、私はモーツァルトやシューベルトの作品を聞いたことがありません。ベートーヴェンのピアノソナタも演奏してはいないのではないでしょうか。
と思っていたのですが、なんとピアノ作品の箱にモーツァルトの名前が記されているではありませんか。聞きはじめはこれで決まりです。
まずは連弾曲のK501です。ふーん、こんなものかな。
続いては傑作、K545のソナタです。が、グリーグが編曲した2台のピアノによる演奏でした。こりゃ、モーツァルトのソナタじゃありませんね。響きが違います。
アルヘリチの演奏ですからおもしろくないことはありません。が、それならおもしろいものは山ほどあるのですから、わざわざ編曲ものを聞く必要はありません。
きっと、アルヘリチのような豪腕ピアニストにモーツァルトやシューベルトのソナタの演奏を求めてはいけないのでしょう。きょう日の演奏家はレパートリーが広すぎるのかもしれません。
でも、ベートーヴェンのソナタだけは聞きたいな。17番や23番なんて、ぴったりじゃないでしょうか。