旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】柳亭市馬

柳亭市馬師匠

主任(トリ)の柳亭市馬師匠の登場です。すかさず、会場から「待ってました!」「たっぷり!」の掛け声がかかりました。寄席の掛け声の定番ですが、【江刺寄席】でははじめてのことです。
(仕込みではありません。実は私もかけたかったのですが、席亭が自分でやっちゃねー。)


人柄をあらわしているようなおおらかな声でマクラがはじまりました。声よし、姿よしの市馬師匠に場内がうっとりしています。
相撲の呼び出しの模写に大きな拍手が起こりました。残念ながら、現在の大相撲の呼び出しにはこんな美声の持ち主はいません。それとは反対の、いかめしい行司の声をまねてから、相撲甚句に移ります。もう、やんやの大喝采です。
歌は別にお願いしてありましたので、落語の中では歌わないはずだったのですが、違いました。開演前の師匠のことば「たっぷり演りましょう」の、たっぷりの中身のひとつがこれなのでしょう。
今日は相撲の噺かな、と思っていると、話題は酒飲みの癖に変わりました。
おっ、「盃の殿様」かな。嬉しいね。一度、市馬師匠でこの噺を聞きたかったんだ。


期待通りにはいかないもので、「禁酒番屋」がはじまりました。
番屋の侍が実に美味そうに酒を飲みます。あっ、水カステラだよね。次は油だし。
二升もタダ酒をきこしめした侍の酔いっぷりがリアルです。市馬師匠が実生活では下戸だなんて、信じられません。(打ち上げでの、盃に注がれた酒を、一口とまでもいかぬ一嘗めする姿を見て、本当だったんだと納得した私です。)
結末が見えてくると、くすくすという笑い声があちこちから聞こえてきました。アレを飲むんだ。そこにいくまでのクスグリが、またおもしろいのです。


大爆笑のうちに市馬師匠の高座が終わりました。いつもならここでお開きになるのですが、今年の【江刺寄席】はまだ続きます。