旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

しりとりのように

ここ数日、中島みゆきさんの歌について書いています。
そうするつもりはありませんでした。でも、書き終えると次の歌が浮かんできます。そして、それらについて書くことが楽しいだけでなく、書くことによって私が慰安されていました。


蕎麦屋、24時間レストラン(ファミレス)と、みゆきさんの歌にはざっかけない飲食店が出てきます。その最たるものが「狼になりたい」の吉野家(歌詞の表記は吉野屋)でしょう。79年のアルバム「親愛なる者へ」に収録されています。
情景を描いた冒頭以外は、心の中のつぶやきが続きます。複数の人の声ともとれますが、「狼になりたい」という思いに収斂されていきますので、ひとりのものなのでしょう。何通かの投書からなる後の作品「ファイト!」に似ていますが、そこが違います。
雨に濡れてよれよれになった安物のアロハを着た若者は、連れの女の化粧も「同じようなもんだ」と冷ややかに眺めています。ちょっと前に街で声を掛け「なんとかしようと思ってたのに」突然の「どしゃ降り雨」で吉野家に入ったのでしょう。
この男女が、私には「僕たちの将来」のふたりに繋がります。数日後か数ヶ月後、「抱き合った宿」を出てファミレスで食事する色のあせた恋人たち。
彼女は「あたしたち多分、大丈夫よね」と彼に甘えます。彼は今までいたホテルの名前や、彼女の方から「とび込んで来」た夜のことを「むし返そうか」といらだっています。それでいて「僕たちの将来はめくるめく閃光(ひかり)の中」にあると信じているのです。もちろん反語とも取れますし、「閃光」という表記が不安を抱かせもしますが。


歌詞を何度も読むと、こうではないことがわかります。これらは歌を聞いて思い浮かんだことで、それはそれで大事にしたいのです。
実は「蕎麦屋」について、私はまったく思い違いをしていたことに昨日気がつきました。


親愛なる者へ(紙ジャケット仕様)

親愛なる者へ(紙ジャケット仕様)