旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

面白いったらありゃしない

森鴎外の『渋江抽斎』を読んでいます。三度目です。この本なら「まだ三度目かい」と言われそうです。
三度目にして、やっと面白さがわかってきました。名作らしいから読んでおこう、史伝とはこういうものなのか、からまったくがらっと変わり、読みながら笑ってしまうこともありました。
抽斎と関わりのあった人々の名前がたくさん出てきます。それも祖にさかのぼって。江戸時代の武士はいくつもの名前を持っていました。名、字(あざな)、小字(おさなな)、通称、号で、それも各一つではありません。それらを読んでいるだけで、なんだか楽しくなってきます。
事実だけが書かれたものと思ってきましたが、その隙間に小説家鴎外がしっかりと見えます。今回、やっとそれがわかりました。
次は『伊沢蘭軒』を読むことにします。こちらは二度目です。