旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

時制

田川建三訳の『新約聖書 訳と註』(作品社)をゆっくりと読み進めています。註が訳文の十倍以上ある大部の書物です。
註は語の説明ではなく訳に関するもので、私には関心のないものでしたが、読んでいるうちにおもしろくなっていました。また、マルコ註のはじめの方に「未完了過去について」という八頁にわたる文章があり、それを繰り返し読んでいて、日本語にはあまりなじみのない時制についても興味を抱きつつあります。
中学校で英語を学ぶようになり、腑に落ちなかったのは過去完了形であったことを思いだしたりもしました。その英語でさえも「(略)英語は、西洋諸語の中で、未完了過去という文法的範疇をほとんど失ってしまっためずらしい言語である」(『新約聖書 訳と註』第一巻149頁)と田川は書いています。
その「めずらしい言語」を学び直したくなってもいます。