旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

大江健三郎『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』

大江健三郎の小説は、中断はありましたが、高校生の時からずっと読み続けてきました。訃報を聞き、少ししてから彼の最後の作品『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』(岩波書店/2013年)を手にしました。一度しか読んでいないことと、自身の過去の小説への言及があるからです。これを読みながら、それらを何冊も読み返したっけ。
冒頭で語り手の長江の息子、アカリが『空の怪物アグイー』の名を出します。長江の妹、アサの記す「三人の女たちによる別の話(一)」では『懐かしい年への手紙』が主題となり、「同(二)」ではそれと『万延元年のフットボール』の結びつきが示されます(これは忘れていました)。
何度も反芻しないと読みこなせない文章は、だらけきった私にいい刺激を与えてくれます。