旭亭だより

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折口信夫『古代研究』

私の持っている折口信夫の『古代研究』は中公クラシックス版全四冊で、底本とした全集を編集したものです。折口の本がわかりにくいのは、読者が日本古典を、それも記紀から浄瑠璃や歌舞伎台本まで一通り読んでいることを前提としているからなのだと、この頃になってやっと気づきました。
柳田、南方、折口の考えたことを、評論や解説書に頼らず、彼らの著作から直にその一部でも掴み取りたいのですが、端緒すら見つからずにうろうろしています。
『古代研究Ⅰ - 祭りの発生』所収の「小栗外伝(餓鬼阿弥蘇生譚の二) 魂と姿との関係」に以下のような文を見つけ、なぜか嬉しくなってしまいました。柳田の名は「柳田先生」として頻出しています。
「叶わぬ時の憑(たの)み人として、南方翁に智慧を拝借しようと思いついた際、窮して通じたと申そうか、佐々木喜善さんの採訪せられた「紫波郡昔話」が出て、その第七十五話に名まで「蛇息子」として出ていた。」(309頁)