旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

甚五郎ナイトはいかがでしょうか。

中入り後の高座はサプライズ・ゲストの笑福亭鶴瓶師匠です。高座着の準備もない飛び入り出演で、鶴瓶師匠は藍色の浴衣姿で登場しました。
王楽さんのブログ「さんゆうていおうらくのはじめてのブログ」にその時の模様が活写されていますので、引用させていただきます。

出囃子鳴るや否や舞台ソデから鶴瓶師匠が登場した途端です…
会場内が、落語会とは思えない程の歓声…まるでジェットコースターに乗った時の様な絶叫、落語会観測史上最大の熱狂に迎えられました…。
師匠は自作の『回覧板』。これまたお客様をさんざん笑わせて下さりました! ?( ̄▽ ̄?)

 
驚きと爆笑の後は本日の主人公、三遊亭王楽さんがトリをつとめます。
出しものは「ねずみ」、先ほど演じた「崇徳院」と同じ、桂三木助の十八番です。終演後、王楽さんにお伺いしたところ、「ねずみ」をかけるのは二週間前に決めたとか。暖めていた企画ではないそうです。


この噺はよくできていますが、三木助浪曲師の広沢菊春から譲り受け、落語に直したもので、初演は昭和31年(1956年)7月という比較的新しい演目です。*1


王楽さんは二席目のせいか固さがとれ、「崇徳院」より出来がいいように私には感じられました。また、子供の出てくる話は王楽さんの仁に合っているようです。
「えっ、あれ、虎ですか。猫だと思っていた。」
王楽さんのキョトンとした鼠の表情は、少し子供のキャラとかぶっていましたが、きれいに決まりました。*2


実は私、甚五郎ものが大好きなのです。
こうなったら王楽さんに甚五郎ものすべてを自家薬籠中の演目としてもらい、「王楽独り語り 左甚五郎物語」と題して、三席を同時に、じゃなくて、「竹の水仙」「三井の大黒」「ねずみ」の順に演じてもらいたいですね。


いや、待てよ。「三者三様 甚五郎ナイト」として、王楽さんと神田山陽さん、国本武春さんの三人で【江刺寄席】で異業種交流会をしてもらうのもいいなぁ。
そうなると、出演料は‥‥(と、【江刺寄席】の席亭でもある私は、ソロバンをはじいて暗い表情になるのでありました。そのときは協賛企業を募集いたしますので、よろしくお願いします)。


楽しかった「第十六回 三遊亭王楽の天狗道場」、これにてお開きです。

*1:三木助と広沢菊春は親友で、広沢の演目には三木助の本名を借りた「小林七郎巡査」というものがあったと、矢野誠一の「落語讀本」に書かれていました。

*2:三木助のねずみはいなせな職人風でした。