今年は美空ひばり生誕70年ということで、NHK・BSでは先週からお嬢の主演映画を放送しています。
私が見たのは「べらんめえ芸者佐渡へ行く」だけですが、今週は江利チエミ、雪村いづみとの三人娘による三作を放送するそうで、楽しみにしています。
昭和三十六年(1961年)作の「べらんめえ芸者佐渡へ行く」を見ていて驚いたことがありました。オープニングに、東映のあの見慣れた岩に砕ける波の映像が出てこないのです。替わりに噴火する火山を上空から撮った映像が流れました。そして「ニュー東映」のクレジット。*1
この映画、高倉健と木村功も出演しているのですが、付け髭に崑ちゃんメガネの木村功は、初めは誰かわかりませんでした。木村功は市川雷蔵と違い、道化役は無理なようです。
調べてみましたら、ニュー東映はこの年に第二東映を改称したものとのこと。時代劇の東映、のイメージを払拭するために、現代劇はこちらの部門で制作したようです。深作欣二監督もニュー東映に所属していました。
そういえば、ニュー東映制作の松方弘樹主演のアクション映画を見た覚えがあります。
私は東映時代劇を見て育ちました。ご贔屓は錦ちゃんこと中村錦之介。一心太助ものが大好きでしたが、錦ちゃんが出演すればそれだけで満足していました。
もちろん「新吾十番勝負」の大川橋蔵も、「黄金孔雀城」の里見浩太朗も好きでしたが、錦ちゃんは別格です。
しかし、これらの映画に出ていた女優は誰ひとり覚えていません。主人公と悪漢との戦いに無我夢中で、そんな余裕はなかったのでしょう。
時代劇命の私でしたが、お嬢に限っては現代物も好きでした。魚河岸のいなせなお姉さん姿などは、今でも目に浮かびます。
当時の私にとって、女優といえば美空ひばりだったのです。*2