「あのころ、ぼくのクラスも班競争だった」と佐藤卓己氏は書評を書き始めています。
佐藤氏は「滝山コミューン 一九七四」の著者、原武史氏と同世代であり、この本によって忘れていたチャイルド・ソーシャリズム体験を呼び起こされたようです。
「本書は一九六〇年代生まれのぼくたちが書き残さねばならない学校体験である」と佐藤氏は述べていますが、それは類書がなかったということでしょう。であれば、この本は読まねばなるまい、と私は即書店に走ったのです。*1
この書評は<熱い>です。評者の、できれば私がこれを書きたかったという思いが伝わってきます。
私はこんな書評が好きです。読者に読んでもらいたい本を真剣に選択し、これを読めと勧めてくれる書評を求めます。*2
ただ、そんな本は年に何冊も出るわけではありません。当然、<熱い>書評も数少くなります。だからこそ、そんな書評に出会ったときは、押っ取り刀で書店に向かうことにしています。
佐藤氏の書評の末尾を引用します。同感するからです。
戦後教育の欠陥は「行過ぎた自由」などではない。集団主義による「個人の尊厳」の抑圧こそが問題だった。それを現在の教育改革論者は正しく理解しているのだろうか。改革を論じる前に、是非一読して欲しい記録である。
佐藤氏の書評の副題は「戦後教育の陰画」です。