朝日新聞夕刊の「人生の贈りもの」というインタビュアー欄に日野皓正が取り上げられています。
私がジャズを聞き始めたころ、彼の人気はアイドルタレントなみでした。それをバカにする年ごろでしたが、彼の演奏に接するとそんな気持ちはどこかに吹っ飛んでしまいました。
どんなに人気が出ても、彼は一所にはとどまらず、いい意味で常にファンを裏切り続けていました。私は、新宿ピットインの2階にあったニュージャズホールで、(飛び入りで1曲だけでしたが)富樫雅彦と演奏する彼を聞いたことがあります。*1
彼がアメリカに行ってしまったときには、本当にがっかりしました。沖至もフランスに行ってしまうし、これでは大好きなトランペット奏者の演奏が聞けなくなってしまうじゃないか。
アメリカで彼が楽器をトランペットからコルネットに変えたことにも驚きました。「ぼくにはまだトランペットを吹きこなすことができない」というのです。*2
唯一彼に失望したのは、安易なフュージョンのアルバムを出したときです。今回のインタビューで、彼もそれを恥じていることを知りました。
禁欲の人であり、その妥協を廃した生き方は感動的です。とてもまねはできないけれど、少しでも見習いたい私です。
彼のアルバムでは「藤」が好きでしたが、残念ながら今は手元にありません。CDになった「Journey Into My Mind」をよく聞いています。ドラムはもちろん実弟のトコちゃん(日野元彦)です。ミッキー(益田幹夫)のピアノがすばらしい「Live!」も好きです。
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