旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】春風亭美由紀

春風亭美由紀師匠

ヒザは俗曲の春風亭美由紀師匠です。
鮮やかな青緑の着物に金糸の刺繍の赤い帯が艶やかです。


音締めをしながら寄席の色物について簡潔に解説し、言寿(ことほぎ)の「木遣りくずし」が始まりました。
「木遣り」とくれば鳶職。鳶の頭であった父親について語りますが、なんと高所が苦手で三階以上は登れなかったとか。
「でもなー、俺が鳶をやっているころには、三階以上の建物はなかったんだい。」


寄席では時間が短いため、歌と踊りだけになりがちな美由紀師匠の高座ですので、私は話を聞く機会があまりありませんでした。こんなにも話藝がすばらしいとは‥‥。驚きです。


アカペラも交えながら(女優として舞台で歌った「歓喜の歌」もご披露してくれました)「さのさ」「かっぽれ」と江戸情緒溢れる歌が続きます。
会場からは手拍子だけでなく間の手までが入ります。唱和している人もいらっしゃいました。
俗曲は難しいかな、と考えていたのですが杞憂に終わりました。席亭、反省すべし。


最後は踊りで「桃太郎」。
流れてくる桃を見つけ、それを家まで運ぶ振りのリアルさに、驚嘆の声が聞こえます。日本舞踊を習っているお客さまも多いようで、高座の狭さを逆に活かした美由紀師匠の寄席の踊りに、目が釘付けになっています。


数々の俗曲や楽しいおしゃべり、踊りでたっぷりと楽しませてくれましたが、これらは美由紀師匠の藝のごく一部でしかありません。
お客さまも再演を望んでいることでしょう。