旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

読書の強要

読書は、若いときはそうではなかったのですが、つまらなく感じた時点でやめることにしています。ですから、完読していない本が結構あります。
でも、少し反省することがあり、初心に返ってみることにしました。関心のない大部の本を、読み通すことにしたのです。


選んだのは数年前に近所の古本屋で買った、小学館の「昭和文学全集/評論随筆集・1」です。箱入・布貼・天金という最近の本には見られない豪華な造りで、三段組・千頁強という剛の者です。2もあったので、そちらも買いました。箱に子供のいたずら書きがありましたが、中身は読まれたことがなかったようです。ともに千円でした。
収録されているのは、三好達治に始まり佐々木基一に終わる66名の文章なのですが、並び順の根拠が今ひとつわかりません。


文学全集の中の一巻なので文藝評論が多いのですが、今西錦司朝永振一郎といった科学者の随筆や、三木清谷川徹三など哲学者の文章も収められています。


シュルレアリスト西脇順三郎瀧口修造は大の苦手ですし、青野季吉や蔵原惟人なんか現在読む必要はないのですが、全巻を通読することに意味があるので、理解できなくても頁をめくっています。すぐに睡魔がやってくるのが難点ですが‥‥。


昨日はなんと宮本顕治を読んじゃいました。芥川龍之介論である「『敗北』の文学」です。
芥川の自殺を「小ブルジョア」の悲劇として論じたものですが、「じゃーお前は何様なの?」という憤りに近い疑問を棚上げにすれば、おもしろい評論でした。*1


というわけで、修行としての読書に挑んでいるナマケモノ座生まれのオラであります。

*1:棚上げにした疑問を宮本にぶつければ、「(階級闘争の)前衛です」というありがたいおことばが返ってくるのは明白です。労働者の上前をかすめとって生活しているしがないインテリで、お前だってプチブルだろと批判されたら返すことばもありません、なんて答えてくれたら嬉しいのにな(無い物ねだりだって)。