旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

週に2回も

私が最も聞いた山下洋輔トリオは、中村誠一のいた第1期です。
あのころ、山下トリオは「ピットイン」とお茶の水の「ナル」で毎週演奏していましたから、週に2回、聞いたこともありました。


山下トリオがほかのグループと違っていたことがひとつありました。演奏開始時間の厳守です。
今はどうか知りませんが、どのバンドも時間にはルーズでした。プーさん(菊地雅章)のとこなんて、演奏開始時間が過ぎても楽器の搬入さえできていない始末です。もちろん3回のセッションは2回になります。
ところが、山下トリオだけは必ず予定通りに演奏が始まったのです。


色白の中村さんが、金時の火事見舞いのように真っ赤になり、ソロをとります。ソプラノを吹いているときなどは、楽器が火吹き竹のように見えたものです。
息絶え絶えになっても、凶暴な目つきのふたり、洋輔さんと森山さんは、ガンガンとあおり続けます。「もうダメ、死んぢゃう」というところまでいって、やっと中村さんは解放され、楽屋に逃げ込むのです。
あとはボーズ頭の凶悪コンビのやりたい放題です。時として、あれっと思う美しいフレーズも聞こえてくるのですが、すぐにガンガンガン、ドシャピシャ、ルロンルロン、ピロポロペーンになっちゃうのが山下トリオです。


中村さんは山下トリオを退団したあと、タキシードの似合うジャズを演奏するようになりました。でも、再結成ライヴでは火吹き竹を吹きまくっていました。
昔取った杵柄というのか、三つ子の魂百までというのか、いやはやジャズメンというものは驚異的な存在です。