私がジャズ喫茶に入り浸ったのは十代の後半ですが、そこでよくかけられていたレコードの中の一枚に、エリック・ドルフィーの(当時は最後のレコーディングといわれた) "Last Date" がありました。ドルフィーは1964年6月にベルリンで客死していましたから、死後数年たっていたのですが、どこのジャズ喫茶でもこのレコードは人気があったようです。
"Last Date" のジャケットはとてもすてきでした。レコーディングスタジオで椅子に腰掛け、アルトサックスを吹くドルフィーがブルーひと色の水彩で描かれているのです。そばには彼の代名詞でもあるバスクラリネットも置かれています。
私はずっとこの絵を、プールサイドでデッキチェアーに腰掛けたドルフィーを描いたものと思いこんでいました。たぶん、その色のせいでしょう。もちろん私がおっちょこちょいのせいもあるのですが……。
昨日、久しぶりにこのレコードを取り出してみました。ターンテーブルにはのせませんでしたが、あの、白鳥の歌ともいえる "You Don't Know What Love Is" のフルートの音が耳に蘇ってきました。
ライムライトレーベルのこのレコードは実はオリジナルではありません。その前にフォンタナから、まったく違ったジャケットで出ていたのです。
私はどちらも持っているのですが、だいぶ後から手に入れたフォンタナ盤をかけることはほとんどありません。