旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

フリージャズのピアノ

先日購入したドン・プーレンの7枚組ボックスセットにはソロによるアルバムが2枚ありました。これがなかなかいいのです。
洋輔さんとスタイルが似ています。ということは、セシル・テーラー型ではありません。
フリージャズのピアニストには二派あると思っています。二十世紀音楽型(現代音楽型)と民族音楽型(情念型)です。これはフリージャズ全般に敷衍できます。
前者の代表はセシル・テイラーで、十二音技法をジャズに持ち込んだものです。これってウェーベルンピアノソナタじゃないの、と思われる知的な方もいらっしゃるかもしれません。いかに早く全鍵盤に指を走らすか、これが聞き所です。
後者も似たような音使いですが、耳を澄ますと素朴な歌のようなものが聞こえてきます。また、調律師が口をあんぐりと開けてしまうような奏法をする人が見受けられます。洋輔さんのグーパンチや肘打ち(このごろはやっていません)、プーレンさんのクルクル奏法です。どちらも演奏の山場に出現します。
クルクル奏法について説明します。右手を軽く握り、鍵盤の上を手首を回転させながら左右に動かすのです。まー、鍵盤には優しい奏法で、調律師もこちらなら許してくれそうな気がします。
洋輔さんのソロのレパートリーにはスタンダード曲やクラシックがありますが、プーレンさんはオリジナル一筋です。これでは我が国では売れません。みなさん、聞こえてくる歌のようなものを待つのではなく、歌そのものを聞きたいのですから。


The Complete Remastered Recordings on Black Saint & Soul Note

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