旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

真夏の荷風

「荷風と東京」など

川本三郎の「荷風と東京」(都市出版)を再読しています。500頁を超える大著で、とても丁寧な造りです。
「『斷腸亭日乘』私註」のサブタイトルがあります。雑誌「東京人」に連載したものに大幅に手を加えたそうです。
荷風論なら敬遠してしまうのですが、初出誌から東京論だろうと、購入した覚えがあります。そのころ、川本の映画や散策に関する本をよく読んでたこともあります。
写真が小さいのでわかりずらいのですが、本の下側に二カ所傷があります。当時預かっていた犬がなぜかこの本だけを目の敵にして、何度も噛みついた痕です。
やはり「斷腸亭日乘」本文を読みたくなります。以前は岩波書店の日乗全巻を持っていたのですが、完読もせずに処分してしまいました。橋川文三の著作集とともに、悔やまれることです。
仕方なく、磯田光一が編集した「摘録 断腸亭日乗」(岩波文庫)で間に合わせています。磯田の荷風論は手元にあります。ついでに「日和下駄」(講談社文芸文庫)も取り出しました。
文それ自体に圧倒されます。このような文語体は、荷風以外には書きませんでした。
読解力があるように思われてしまうのは心外ですから正直に書きますが、辞書と文法書を側に置いての読書です。二重三重の否定文には常に苦労しています。