旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

アイラーの<歌>

「Nuits De La Fondation Maeght 1970

久しぶりにCDを2枚買いました。どちらもアルバート・アイラーで、死の直前のライブ録音です。
写真の「Nuits De La Fondation Maeght 1970」は、以前「ラスト・レコーディング」というタイトルで国内盤のアナログ・ディスクが出ていました。もう1枚はそれに先立つ「Live on the Riviera」です。
先月の出張の往き帰りに、コルトレーンのインパルス時代のスタジオ録音を聞いていたのですが、何だかアイラーも聞きたくなりました。特に「ラスト・レコーディング」が聞きたかったのですが、前に探したときにはCD化されていませんでした。
家にあるのは「Spiritual Unity」(赤バージョン!)だけでしたので、アイラーのCDだったら何でもいいや、といい加減な気分で検索したところ、2 in 1 のCDになっていました。


フリージャズの方法論はいくつもあるのでしょうが、私にはアイラーの演奏は延々と続く<歌>のように聞こえます。彼が実際に子供のときから聞いてきた<歌>や、遺伝子の中に刻印されている太古からの<歌>を、アイラーはサックスに託してとうとうと歌っている、そんな気がします。


中上健次が「破壊せよ、とアイラーは言った」を書いたせいか、アイラーの音楽を攻撃的な、うるさいフリージャズだと敬遠している人が多いようですが、決してそんなことはありません。誰もが(胎内も含めた)どこかで一度は聞いたことのある音楽です。


アイラーの名曲といえば「Ghosts」ですが、かって坂田明さんがよくこの曲を取り上げていました。彼は、アイルランドフォークソングのようなこの曲に童謡「赤とんぼ」を放り込んで、すばらしい演奏を聞かせてくれたものです。山下洋輔トリオの「Montreux Afterglow」で聞くことができます。