旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

放談は雑談に非ず

呉智英宮崎哲弥の対談本「放談の王道」を再読しました。呉智英先生の著作は何度も読み返しているのですが、この本は書棚にしまわれたままでした。
一度読んで、わかったつもりでいたからです。雑談本として、わかるところだけを摘み、おもしろおかしく読んでいたのでしょう。
今回、十年ぶりで読み、私にはあまりにも難しい内容であったことに驚きました。


以前は数時間でさらっと読み終えてしまったのですが、今回この本は約一ヶ月机の上にありました。数頁読んでは内容を咀嚼し、わからないところは調べるの連続だったのです。


対談本の正味期限は短いのですが、この本は現在でもまったく古びていません。時代の問題を的確に捉え、誠実に対応策を(わからないことはわからないと)提言していたからです。


この本は儒者と仏教者との対話であり、知識人論でもあります。おふたりは「知識人」であることを自負し、知識人はどうふるまうべきなのかを真摯に語りあいます。
対談の終盤に宮崎氏の語るブッタ像に、私は蒙を啓かれました。


この対談から十年がたちました。もう一度、こんな機会があることを望みたいのですが、たぶんおふたりからは「すべて語り尽くされている」という答えが返ってくるのでしょう。