旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

大江健三郎再読

大江健三郎の小説で最初に読んだのは「万延元年のフットボール」でした。高校に入学した年です。赤い渦巻き模様の貼り箱を鮮明に覚えています。装丁は粟津潔だったのでしょうか。つまり、いきなり最新作に接したわけです。
その後学校の図書室で新潮社から出ていた「大江健三郎全作品」六巻を繰り返し読んだのですが、「万延元年のフットボール」だけは所有していたのにも関わらず、なぜか再読することはありませんでした。
二ヶ月前、弟と酒を飲んでいて話題が大江のことになりました。私が「彼の作品を追いかけたのは『ピンチランナー調書』までで、その後は読まなくなった。今でも初期の作品には愛着があるけどね」というと、弟はその後の小説の方がおもしろいと返してきました。
実は文庫本ですが「宙返り」と「取り替え子(チェンジリング)」は買ってあったのです。読みはしませんでしたが。
そのときから大江をもう一度読んでみようと思うようになりました。まずは「万延元年のフットボール」です。
万延元年のフットボール」のハードカバーはもう手許にありませんが、文庫化(講談社文芸文庫)された四半世紀前のものが書棚に眠っていました。四十数年ぶりの再読でしたが前半はほぼ記憶通りでした。
お題には「再読」と書きましたがそれはこの本だけで、その後は未読の作品を読んでいます。この休みは「キルプの軍団」と「河馬に噛まれる」を読みました。