旭亭だより

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大佛次郎『天皇の世紀』

大佛次郎の『天皇の世紀』文春文庫版は2010年に1年かけて刊行されました。全12冊でどれも400頁を超えています。大佛の作品はそれまで読んだことがありません。
近現代史の本は買うと同時に読んでいた私ですが、『天皇の世紀』は冒頭の数頁でやめてしまいました。それでも買い続けたので手許には全冊があります。
12年ぶりに読んでみましたが、冒頭ははっきりと覚えていました。読みにくい本ではありません。ではなぜ完読できなかったのでしょうか。幕末の公家の窮乏ぶり、その一人であった明治天皇の生母の父の家に建てられた御産所、胞衣の始末などの記述に、おそらく私は辟易してしまったのでしょう。
長大な作品ですが、『天皇の世紀』は病気休載となり完成されませんでした。まだ記述は戊辰戦争の最中です。大佛はどこまで書くつもりだったのかが気になります。