二番太鼓が鳴りました。ATC女子アナ部のGさんのアナウンスが会場に流れます。いよいよ開演です。
【江刺寄席】の開口一番は三遊亭かっ好さんです。かっ好さんはナポレオンズのボナ植木さんの息子ですが、お父さんにはあまり似ていません。小柄ですが筋肉質の体と切れ長の目は格闘家を思わせます。
自分の名前にちなんで郭公の話を枕に「浮世床」が始まりました。髪結床に集まったどこか抜けている愛すべき若者たちのスケッチで、式亭三馬の「浮世床」が下敷きになっています。
はじめのうちはやや早い口調に戸惑っていたお客様から、だんだんと笑い声が聞こえてきました。話に緩急がつけばもっと笑いがとれるのですが、そこはまだ前座です。覚えた噺をなんとか最後まで持っていくのが精一杯なのでしょう。
でも会場は暖まってきました。話し終えたかっ好さんはほっとしたように座布団を裏返し、めくりを直して舞台下手に去りました。