旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】蕎麦の味わい

桂花丸

地元衣川出身、桂花丸さんの登場です。
客席にはご両親、岩谷堂高校時代の恩師、同級生や在校生が来ています。花丸さんは「今日は演りにくいですね」を連発していました。
花丸さんが落語家になるきっかけになったのは、この江刺体育文化会館で高校の授業の一環として聞いた落語会だったそうです。ここで高座を務めるのは初めてですので、今日は二つの意味で故郷に錦を飾ったことになります。


岩手なまりの話から、師匠桂歌丸さんや大師匠桂米丸さんのお内儀の滑稽なエピソードなどを枕に盛り込んで、爆笑を誘いながら噺に入ります。
始まったのはなんと「時そば」。新作派の花丸さんが得意の自作を披露するのではなく、誰でも知っているので演者の芸の質がはっきりと観客にわかってしまう「時そば」に挑みます。


枕のときより岩手なまりが心持ち強くなったようです。地元の空気がそうさせるのでしょうか。
今日は持ち時間が十分ありますので、見せどころのそばを喰う仕草にたっぷりと時間をかけます。客席から拍手が湧き起こりました。ご両親、嬉しかったでしょうね。
噺が進むうちに、花丸さんの岩手なまりが「時そば」にいい味わいを加えていることに気づきました。
江戸にだって南部藩生まれの町人がいたはずだよ。その人たちが二八そばを売ったり、そのそば屋をからかったりすることもあっただろうさ。
そんな南部なまりのひとたちも行き交う江戸の町の情景が浮かんできたのです。これは面白い。
大きな拍手の中で高座を終えた花丸さんに花束がふたつ差し出されました。


花丸さんは勉強熱心で、好楽師匠に打ち上げ会でいろいろ質問をしていました。今風な若者の別な一面を見ることができました。


花丸さんは「笑点」にも出ているのですよ。山田くんに座布団を渡す「手」が、彼だそうです。