旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「秋冷」の読み方

俳句は読まない私ですが、杉田久女の句「足袋つぐやノラともならず教師妻」が口をつくことがあります。初句がすっと出てこないことがしばしばなのですが。『大西巨人文選 3』所収の『「秋冷」のこと三度目』を読み、私がその句を目にしたのは『神聖喜劇』であったことを思い出しました。
詩句の中の漢字をどう読むのか、わからないことがよくあります。辞書に載っていなかったり、載っていてもその読み方ではしっくりしないことがしばしばです。『「秋冷」のこと三度目』で久女の秀句「紫陽花(あぢさゐ)に秋冷いたる信濃かな」でさえ「秋冷」の読み方に二説あることを知りました。初出にルビはないそうです。
私はぱっと見て「しゅうれい」と読みました。大西は「あきびえ」と読みます。「しうれい」派がやや多いようですが、どちらも韻律のよさを根拠にしているところに興味があります。