旭亭だより

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人が象徴であるとは

昭和史の本を何冊かまとめて読んだおかげで、大日本帝国憲法下での天皇制について、なんとか理解できるようになってきました。昭和天皇の評価に関しては、最近多くの本が出版されていますが、まだまだ読むべき本がたくさんあり、じっくりと腰を据えて取り組んでみるつもりです。


それとは別に、今まで自明のことと思いこんできた象徴天皇制について、実は何も考えていなかったことに気づきました。
昭和天皇は1945年の元日に天皇の神格を否定しました。そして、同年11月に日本国憲法が公布され、「日本国の象徴」となりました。生身の人間であったのは、わずかに十ヶ月だったのです。
ひとりの人間が国の象徴であるとはどういうことなのか、私はそれについての議論や納得のいく解説を読んだ記憶がありません。


手元にそれに関する本は一冊だけありました。赤坂憲雄「象徴天皇という物語」(ちくまライブラリー)です。
昭和天皇の亡くなった翌年に出た本で、序章に「誕生以来、まともにその意味や内実が問われることのないままに留保されてきた象徴としての天皇が、ようやく真正面から問われようとしているいま」とありますが、「いま」はそのような論議がされることなく、去っていってしまったようです。


またひとつ、考えることが増えました。