旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

隠語嫌い

昨日の東京新聞朝刊の「街角あらかると」という欄で紹介されていた店舗の名前に違和感を抱きました。銀座五丁目にある創作和食「SHARI(シャリ)」です。たぶんご飯を意味する隠語のシャリから取ったのでしょう。
記事のタイトルは「女心満たす昼御膳」となっていて、その「昼御膳」は2,600円也の「レディース御膳」を指しています。つまりこの「SHARI(シャリ)」は高級和食店なのです。そのような店が隠語を名乗るとは、私には理解できません。場末にある一膳飯屋の名前ならまだわかります。もっともそんな名前の店には、場末であれ私は入りません。
二十代の頃にこんなことがありました。勤務先の管理する公衆電話の受話器が盗まれました。担当であった私は近所の交番に被害届を出しに行きました。応対したのは私よりも若そうな警官でした。被害にあった旨を話すと、警官は上司の席に行き、指示を仰ぎました。
「タレが来ていまして、どのように処理をすればいいでしょうか。」
タレ、何だろう。少し考え「タレコミ」であることがわかりました。私は「たれ込み」とは密告や告げ口を意味し、それをすることは褒められることではないと考えていました。被害届を出しに来た私の行為が「タレ」と言われたことに不快になりました。が、仕事で来たのですから我慢するしかありません。横柄な口調の若い警官の質問に答え、被害届を提出しました。
その時、ひとつ知ったことがあります。公衆電話の受話器は高性能なので、無線マニアに需要があり、よく盗まれるそうです。
某有名女子大国文科を卒業した方と同僚であったことがあります。彼女は醤油を「ムラサキ」と呼んでいました。上品な言い方だと勘違いしていたのでしょう。寿司屋の符牒と言われていますが、私の知る例は遊女が使うもので、書名は失念しましたが黄表紙で読んだことがあります。
隠語はそれが使われる世界の中で、その世界に住む人との間でのみ使用が許されるものではないでしょうか。素人に聞かれてはなりませんし、素人相手に使うなどは論外のことです。