東海林さだおさんの「丸かじり劇場メモリアルBOX」を楽しみながら少しずつ読んできました。でも残念、とうとう昨日で読み終えてしまいました。
実は東海林さんの本を購入したのはこれが初めてでした。絶賛する人は多く、気にはなっていたのですが、その機会がありませんでした。いや、正直に言うと、蘊蓄本やB級グルメ本の一種と考えて、遠ざけていたのです。
でも、全然違っていました。それにすばらしい文章です。私が至高のものと考えている吉田秀和さんの相撲随筆に匹敵するのではないでしょうか。
この本は私たちの身近にある食べ物を題材にしたものです。B級グルメ本と全く違っているのは、どこそこのあれについて書かれたものではないところです。ですから、ごく一部を除いて店の名前は出てきません。
それでいて、人を無理なく納得させてしまう技がすごい。特におじさんたちの納得率は、限りなく100%に近いはずです。そして、納得したおじさんたちは「ちょっと近所の惣菜屋に行ってくるか」といそいそとジャージのまま、買い物に出かけていくのです。
「カップ麺の正しい食べ方」に抱腹絶倒しました。ここにカップ麺を食べる作法が、生誕三十余年にして漸く確立したのです。慶賀の至りです。私ですか?もちろん東海林流にのっとり、かのものを食しております。
- 作者: 東海林さだお
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/10/10
- メディア: 文庫
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